気候変動問題に対する取組み
住友倉庫及びグループ各社は、気候変動問題への対応が事業上の重要課題の一つであるという認識のもと、環境負荷軽減、環境保全に向けて、様々な取組みを行っています。
CASBEE評価の取得
「CASBEE」とは、一般財団法人建築環境・省エネルギー機構が開発した、建築物の環境性能を総合的に評価する制度のことです。
当社では、物流施設や不動産賃貸用施設において、環境負荷低減を図る取組みのひとつとして、下記の施設において建築物総合環境性能評価システム「CASBEE」評価を取得しています。
CASBEE評価取得施設
施設名 | 評価名 |
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浦安倉庫 | 「CASBEE」Aランク |
南本牧倉庫 | 「CASBEE-横浜」Aランク |
南港東倉庫 | 「CASBEE-大阪」Aランク |
羽生第二アーカイブズ | 「CASBEE-埼玉県」Aランク |
南港北倉庫 | 「CASBEE-大阪」Aランク |
犬山アーカイブズ | 「CASBEE-あいち」Aランク |
淀屋橋ミッドキューブ | 「CASBEE-大阪」Aランク |
T-FRONTE | 「CASBEE-埼玉県」Aランク |
中央営業所ポートアイランドL-6 300倉庫 | 「CASBEE-神戸」Aランク |
本町ガーデンシティテラス | 「CASBEE-大阪みらい」Aランク |
省エネルギーへの取組み
省エネ法への対応
当社は「エネルギー使用の合理化に関する法律(省エネ法)」における「特定事業者」に該当しています。特定事業者として、当社施設におけるエネルギー消費原単位を、中長期的にみて年平均で1%以上削減することとし、その結果を経済産業省に「定期報告書」として毎年提出しています。
このため、CSR委員会の下部組織である環境部会における環境保全の取組みとして、省エネルギー推進会議の運営、省エネルギー計画の策定、全社的なエネルギー使用実績の把握及び省エネに関する啓発活動などを行っています。
太陽光発電
大阪市南港地区・南港東倉庫
大阪市南港地区・南港東倉庫の屋上に、太陽光発電設備を設置し、太陽光を利用した発電を行っています。
発電量は年間約30万kWhを想定し、同倉庫における消費電力の約10%を賄っています。これは、二酸化炭素に換算すると年間約96.6トンの削減量に相当し、56.8ヘクタールの森林と同等の役割を果たしています。

■ 大阪市南港地区・南港東倉庫 太陽光発電設備の概要
パネル1枚あたり | 1.44m×0.81m |
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パネル枚数 | 1,628枚 |
総面積 | 約1,900㎡ |
総重量 | 約22,800kg |
発電容量 | 300kW |
太陽光オンサイト発電サービスの利用
大阪市内に所在する倉庫の一部において、太陽光オンサイト発電サービスを利用しています。
これは太陽光発電事業者へ当社の倉庫屋上スペースを貸し出し、そこに事業者が太陽光発電を設置して発電した電力を使用するものです。当該事業所の使用電力の一部をこうした再生可能エネルギー由来のものに代替することにより、CO₂排出量の削減を図っています。
海外での取組み
住倉レムチャバン会社、シンガポール住友倉庫会社及び住友倉儲(中国)有限公司において、太陽光発電設備を倉庫屋上に設置し、当該倉庫で使用する電力の一部を賄っています。
なお、シンガポール住友倉庫会社の当該設備の設置に係る資金は、グリーンボンドで調達しました。
電力使用量削減プロジェクトの推進
当社は、保有施設で使用する空調機器や照明器具を省エネ型機器に随時更新していくことにより、環境負荷とコストの削減を図っています。
下記の空調機器の更新と照明器具のLED化に係る資金は、グリーンボンドで調達しました。
空調機器の更新
2019~2021年度にかけて、当社保有の倉庫や貸ビル等のうち約40施設を対象に、約1,400台の空調機器を省エネ型機器に更新します。これにより、電力使用量及びCO₂排出量が約30%削減されるほか、オゾン層への影響のない冷媒を用いることによる環境改善効果を見込んでいます。
照明器具のLED化
2017~2019年度にかけて、当社保有の倉庫等約60施設、約54,000台の照明器具をLED照明器具に更新しました。これにより、2019年度の電力使用量及びCO₂排出量の削減率は当初見込の約60%を上回る63.8%の削減となりました。
屋上緑化によるヒートアイランド現象緩和の取組み
大阪・南港東倉庫では、屋上部に1,400㎡、施設周辺の地上部に2,850㎡の緑化を施すことによって、屋根及び地上面の温度上昇を抑制し、ヒートアイランド現象の緩和に努めています。屋根内側の表面温度は、緑地部と非緑地部では2~3度の温度差になっており、庫内の温度の一定化に寄与するとともに、空調機器の稼働を抑えることで、消費エネルギーの抑制にも寄与しています。


認定・受賞歴等
- 一般社団法人日本物流団体連合会 第22回物流環境大賞 特別賞(照明器具LED化、空調機器更新及び太陽光発電設備設置によるCO2排出量の削減並びにグリーンボンド発行による環境意識の高揚)
サービスにおける環境負荷低減への取り組み
当社グループは、環境負荷の低いサービスを提供することにより、お客様の環境対策に貢献したいと考えています。各事業所において、倉庫施設や荷役機器の入れ替え時の環境負荷の低い設備の導入や、作業及び輸送の効率化を推進することにより、エネルギー使用量やCO₂排出量の削減を図っています。
拠点集約による物流の効率化(物流総合効率化法「総合効率化計画」の認定)
当社では、物流総合効率化法に定める「総合効率化計画」の認定を受けている拠点があります。これは複数の倉庫で取り扱っている商品を、新たな施設に集約することにより、輸送距離を短縮しCO₂排出量の削減を図るというものであり、以下の事業所で認定を受けています。
また、2016年5月の同法改正により、2以上の事業者が連携して行う「モーダルシフト」「輸配送共同化」も対象事業となったことから、当社は2019年4月に住友化学株式会社、四国開発フェリー株式会社との3社共同で飼料添加物メチオニンの船舶による国内輸送業務について、「総合効率化計画」の認定を受けました。
稼働時期 | 事業所名 |
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2007年8月稼働 | 横浜支店本牧営業所(現横浜支店南本牧第一営業所) |
2008年4月稼働 | 大阪支店南港東営業所 |
2015年4月稼働 | 大阪支店南港北営業所 |
2019年6月稼働 | 横浜支店南本牧第二営業所 |
2021年1月稼働 | 神戸支店ポートアイランド営業所L-6 300倉庫(現神戸支店中央営業所) |
モーダルシフト
モーダルシフトとは、トラックによる幹線貨物輸送を船舶や鉄道に変更することで、CO₂排出量を削減する輸送方法です。これはCO₂排出量削減の有力な手段であるとともに、近年国内で課題となっているトラックドライバー不足問題の解決にもつながっています。また、陸送距離が長くなる欧州や北米においても、高速道路での輸送の代替として艀や鉄道を使った輸送等を提案し、お客様が環境負荷を低減する選択肢を増やしています。
海運(内航船)を使った貨物輸送
愛媛県新居浜市のお客様の工場と神戸港の間の貨物輸送に海上輸送を利用する事例です。トラック輸送と比較した場合、CO₂排出量を約55%低減できます。

海運(内航船)を使った空コンテナ輸送
輸出入の際に貨物を詰めるコンテナは、多くは船社やコンテナリース会社が所有するものを使用します。輸出の際にはコンテナターミナルから空のコンテナを借り受け、輸入の場合は貨物を取り出した空の状態のコンテナをコンテナターミナルまで返却します。コンテナターミナルでは空コンテナの需給バランスが一定でないことが多く、貸し出すための空コンテナの不足が生じると、別のターミナルから持って来なければならず、その陸送距離が長くなることが課題となっています。
そこでコンテナを管理するお客様に対して、空コンテナが滞留するターミナルから、不足している別のターミナルへの輸送を、陸上運送でなく艀を利用した海上運送によって行うことを提案しています。
図は大阪港と神戸港の間の空コンテナ輸送の事例です。この場合、トレーラー輸送と比較した場合、CO2排出量を約88%の低減できます。

鉄道を使った取組み
大阪府と神奈川県の東西2拠点で運営する配送センター間の貨物輸送に、鉄道を利用する事例です。トラック輸送と比較した場合、CO₂排出量を約80%低減できます。

コンテナラウンドユースへの取組み
貨物の輸出入を行うお客様に対して、輸入した貨物を取り出した後の空コンテナを輸出用のコンテナに転用し、空コンテナの返却と借り受けに係る輸送を減らすラウンドユースを提案しています。このコンテナラウンドユースもモーダルシフトと同様、CO₂排出量の削減やドライバー不足といった課題の解決につなげることができます。
認定・受賞歴等
- 飼料添加物メチオニンの流通業務が国土交通省の「総合効率化計画」に認定
- 一般社団法人日本物流団体連合会 第22回物流環境大賞 特別賞(揚地港変更によるCO2排出量の削減の取り組み)
- 一般社団法人日本物流団体連合会 第23回物流環境大賞 特別賞(コンテナラウンドユースを活用したCO2排出量削減の取り組み)
エネルギー使用量/CO₂排出量削減の取組み
当社グループは、気候変動対策は事業上の重要課題の一つであるという認識のもと、2030年度までに当社単体のスコープ1・2において、温室効果ガス排出量を2018年度比で50%削減する目標を設定し、達成に向けた取組みを行っています。
倉庫施設
- 荷役機器は電動式の機器の導入を推進しています。
- 照明のLED化や高効率な空調設備への切り替えを計画的に進め、エネルギー使用量を削減しています。
- 一部の倉庫では太陽光発電設備を設置し、使用電力の一部を賄っているほか、太陽光オンサイト発電サービスの利用や電力会社からの購入を通じて、再生可能エネルギー由来の電力の利用を拡大しています。
- 社用車(主に営業所間の移動等に使用する乗用車)の電気自動車化を推進しています。
港湾(コンテナターミナル、在来ふ頭)
- ハイブリッド型の荷役機器を導入し、CO₂排出量の削減を図っています。
- 水素燃料電池換装型及び電動型RTG(タイヤ式門型クレーン)導入を決定しています。
- 東京港・横浜港で自営するコンテナターミナルにおける再生可能エネルギー由来の電力使用100%化を達成しています。
賃貸ビル等
- LED照明や高効率な空調設備への切り替えを計画的に進め、テナントのエネルギー使用量削減及びコスト削減を実現しています。
- 賃貸用不動産ビルにおける再生可能エネルギー由来の電力への切替えを実施しています。
- 淀屋橋ミッドキューブには、BEMS(ビルエネルギーマネジメントシステム)※を導入しています。
※ビルや工場等の建物において、建物全体のエネルギー設備を総合的に監視し自動制御することによって、省エネルギー化、運用の最適化を行う管理システム。ビルのエネルギー使用量を把握し適性に管理することが可能となる。
環境貢献事業への参画
当社は、CSRの取組みの一環として、2013年10月からメガソーラー事業『大阪ひかりの森プロジェクト』に参加しています。
このプロジェクトは、大阪市が約15ヘクタールを無償提供する夢洲の廃棄物埋立処分場において、大阪市・住友商事株式会社・三井住友ファイナンス&リース株式会社及びサミットエナジー株式会社が共同で実施主体となって行う、発電容量約10メガワットの大規模太陽光発電(メガソーラー)事業です。
当社は、本プロジェクトを通して、再生可能エネルギーの活用での地球環境保全への貢献とともに、土地の有効活用での地域社会活性化への寄与を目指していきます。
メガソーラー事業の概要
実施場所 | 大阪市此花区夢洲1区の廃棄物埋立処分場のうちの約15ヘクタール |
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実施期間 | 2013年10月から20年間 |
発電容量 | 500kW(当社出資分:標準的な家庭の電力消費量の約160世帯分に相当) |


