「物流」とは簡単にいうと生産者から消費者までの生産物の流れ。こうした物流の仕組みや物流業界の現状と変化について、
また、その中での住友倉庫の業務内容やビジョンをわかりやすく解説します。

「物流」その正体は…?

物流とは物の流れを意味し、商品が生産されてから顧客に納品されるまでの一連の活動を意味します。
例えば、11月第3木曜日の解禁日に一斉に販売が始まるボージョレ・ヌーボーは、解禁日に生産地から発送されて急にお店に届くわけではなく、解禁日から逆算して輸送プランが立てられ、解禁日に間に合うように生産地から発送されます。また輸送の過程では、品質が傷まないように適切に保管されたり、輸送中にボトルが割れないように梱包が行われたりと様々な行程を経ます。
このように運んだり、保管したり、梱包したり、普段は気にしていなくても無いと困る存在。
その正体こそが「物流」なのです。

物流を構成する要素

こうした生産者と消費者との隔たりを埋めるのが物流の役割であり、輸送・荷役・保管・情報・加工・梱包といった要素で構成されています。物流は経済活動の基盤を支え、生産者と消費者を結ぶ、ひいては産業と国民の生活基盤を支える重要な役割を担っているのです。

かつては、物流企業は輸送、荷役、保管…といったそれぞれのサービスに特化していましたが、近年では「総合物流」として複数のサービスを提供するように変わりつつあります。

物流の課題と顧客ニーズ

企業が生産から販売までの効率的な物流を行うためには、倉庫や輸送手段や人員、ソフトウェアなど様々な事業インフラの整備が必要となります。しかしながら、これらの整備を行うには経済的にも時間的にもコストが掛かってしまいます。
また、インフラを自社で整備しないにしても企業がこれらの手配を行うためには、各物流業者とのやりとりや、それを行う人員の確保などが必要となります。
日々高度専門化していく現代のビジネス環境において、このように物流が本業ではない企業が、自ら物流を行うことはかなりの難題です。

新しい物流の手法、サードパーティーロジスティクス

そこで物流機能を物流を専門とした企業に委託するサードパーティーロジスティクス(以下3PL)という物流の手法が広がっています。

これまで輸送会社や倉庫会社など、様々な物流会社がそれぞれの領域で事業を行ってきましたが、顧客企業のニーズは3PLのように一括して任せるといった方向へと変化してきました。その流れを汲んで、物流会社では顧客と一体となって顧客ニーズに合わせた最適な輸送手段をアレンジし、一貫輸送を行うといった物流機能の再編が進んでいます。

そして世界へ
―とどまることなく物流は進化を続ける

物流再編の流れは国内だけにはとどまらず、グローバル化が進んでいます。
メーカーが生産拠点を国内からアジア諸国など海外へシフトする流れに合わせて日本の物流企業の海外進出も盛んになっています。
特に最近では成長著しい中国などアジアの新興国に、多くの企業が注目しています。
これらの国々では物流に関する法律等のルールが完全には整っておらず、後追いでルールが作られることもあり、そのような環境の中でいかにして国内と同レベルで物流サービス提供をできるかが物流企業に要求されます。
企業活動が広がり、物流の範囲が広がるにつれ、その業界構造もますます進化することが予想されます。

ロジスティクスビジネスをリードする
総合物流企業

住友倉庫は、大別すると物流事業と不動産事業の2つの事業から構成されています。
社名に「倉庫」とついていますが、物流事業においては倉庫(配送センター、アーカイブズ)の他、港湾運送、輸出入通関、国際複合一貫輸送、航空貨物取扱、海運などを行う総合物流企業です。
不動産事業では、保有する倉庫用地を活かした都市開発、保有不動産の管理などを行っています。

倉庫事業

国内外にある倉庫の面積は延べ80万㎡あり、単なる倉庫ではなく物流情報を一元管理するキーステーションとして活用されていて、充実したハードで、多様な保管ニーズに対応します。

また、アーカイブズ(文書等の情報記録媒体保管)では、保管機能の提供だけでなく、コンプライアンス違反や災害などといった危機への対策もサポートしています。

港湾運送事業

東京、横浜、大阪、神戸で外航船が停泊する港(ターミナル)の運営や、船舶代理店として船会社の業務代行を行います。

国際輸送事業

船舶・航空・鉄道・トラックなどを利用し、引取・通関・国際輸送、相手国での通関・配送まで一貫して引受け、顧客ニーズに応じて最適な輸送手段を提案するという国際的な輸送業務を行います。

不動産事業

都市開発

都心部などに保有する倉庫用地を公共の利益に貢献するように都市機能へと用途転換し、有効活用を行っています。

保有不動産の維持管理

不動産価値を維持するため、営繕工事の計画や実施、稼働率を高めるためのテナント誘致などを行っています。

業界を牽引する総合物流企業

1959年、他社に先駆け国際輸送業務へと進出、1970年代初頭には倉庫業界初の自動ラック倉庫を設置。また、1972年の不動産事業への進出、1974年の物流業界初となる在庫管理システムの全国オンライン化など古くから時代をリードする事業展開を行ってきた住友倉庫。近年でも、従来のシステムを拡大発展させた住友倉庫独自の物流管理システム「SWIFT」の導入、インターネットを活用した国際貨物追跡システムの開発など、住友倉庫は常に競合他社に先駆けた企業戦略を行っています。今後も積極的な設備投資、インフラ拡充といったハード面、新規物流スキームの研究と構築、物流システムの進化といったソフト面の充実を図るとともに、これら両面を活用した高付加価値化を行い、物流業界を牽引する存在であるよう努めていきます。